そもそも近代科学は、デカルト(17世紀)の「物心二元論」から始まりました。物質と精神は、全く別物とみなし、近代科学ではよくわからない「心」の研究を置き去りにしたまま、ニュートン力学が生まれ、今世紀の初めまでは物質に重点をおいた古典的な物理学の世界がすべてを支配してきたのです。
1915年、アインシュタインが「一般相対性理論」を発表し、光速に近いまでの世界を解明しました。物質世界の限界は、この光速止まりです。それを超えると時間のパラドックスが起こってしまいます。
ところがついに1926年、ハイゼンベルグの「不確定性理論」が発表されたのです。物質の最小単位である原子の中の電子の振舞いには、アインシュタインの相対性理論でも当てはまらない世界がありました。それは、あったり、なかったり、壁を通過したり、とても霊的だったのです。ハイゼンベルグは、粒子の位置の不安定さと、量子の質量を掛け合わせた量が「プランクの定数」と呼ばれる一定の値より小さくできないことを数学的に証明しました。これが量子力学の確立です。
専門的な説明はこれぐらいにとどめますが、詳しく知りたい方には、手軽に読める「量子力学」の本もあります。
素粒子の動きは光速を超えました。また、波動でもありました。そして、原子や電子の実験を行っていたボーアが研究に行き詰っていたとき、量子力学が明快な解決の糸口をもたらしました。最初は単純な水素原子モデルしか作れなかったのが、電子を「波動」とみなせば、どんなに複雑な構造の原子モデルをも作ることが出来ます。確かなものであり「固い」ものであると誰もが信じていた物質存在への神式は、とたんに不安定なものとなり、揺らぎだしたのです。
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